この公演は当初、京都大学吉田寮食堂での上演を目指していましたが、事情により叶わず、東京での公演となりました。
会場は、南千住にある一軒家の二階。居住空間をそのまま使った“家公演”です。 文字通り、手が届きそうな距離で俳優を見ることができる空間です。 俳優の息づかいまで、伝わってしまう空間です。
初演にもまして、濃密・濃厚な芝居となると思います。宜しくお願い致します。
東京からずっと西に、一つの学生寮があった。 キャンパスのはずれ、 建っているというより地面から生えているといった風情の木造の学生寮。 100年前から学生たちが暮らし、やがて去っていった場所だ。
黄ばんだビラや落書きだらけの廊下。穴蔵のような部屋。 部屋の中の壁もまた、落書きで埋め尽くされている。 かつて若者たちが、ここを去る日に、書き残していった言葉たちだ。
西棟2階のどんづまり、209号室にたむろしている5人の学生にも、 それぞれの旅立ちのときが迫っている。
そして、寮自体も最期のときをむかえようとしていた。
京都で演劇をしていた大田と東京でうつろな目をしていた出口からなる社会人演劇ユニット。 財形で貯めたお金を元手に、ひっそりと役者や稽古場を探している。 ユニット名は"芝居する熊"の意で、大田と出口が共に熊さんのようなビジュアルなことから名付けられた。 舞台上でくらい牙を剥いて暴れたいと思うものの、生来の気弱さがそれを許さない。
2017年7月、旗揚げ。 2017年12月、『うかうかと終焉』で第23回日本劇作家協会新人戯曲賞を受賞。