※開場は開演の30分前から ※全席自由席
「この代わり映えしない毎日が、ずっと死ぬまで続くのだろうか」 富良野つばさは、延々と繰り返される日々に、ぼんやりとした不安を感じていた。そんなある日、結婚間近の恋人に黙って出かけたアイドル「コッペリア」のライブ会場で、 つばさは――河童に出会った。
すったもんだで辿り着いたは、世にも奇妙な河童の国。欲望の限り自由に生きることができる、グロテスクでハッピーな世界。すべてが平等で、しがらみのない夢の世界。 享楽的な香りに翻弄されるつばさは「河童の国」から逃れようともがくが、いつしか心の奥に迷いが生じていることに気づく。 ――僕は恋人の待つ現実に戻るべきか、自由で魅惑的な河童の世界に留まるべきか。
キャンディプロジェクトがおくる「近代文学翻案シリーズ」第三弾は、芥川龍之介『河童』と、バレエ作品として有名な『コッペリア』の交響劇。 芥川が「ぼんやりとした不安」に浸食され自己嫌悪に陥っていく中で発表された異色作『河童』。明るいバレエ作品ながら、怪奇小説『砂男』の不気味さが下敷きとなっている『コッペリア』。この二作は、人間でないものを通し、人間の本性を描いているという点で通底している。 舞台上での生演奏、ダンス、殺陣など、享楽的なエンターテインメントに包まれているのは、狂気か純心か。
キャンディプロジェクトは【ブンガク×オンガク】をテーマに舞台作品を発表しています。 「言葉にし得ない何か」を、言葉によって表現しようとした「文学」、言葉以外で表現しようとした「音楽」。 その二つを掛け合わせることによって立体的に見えてくる「人間」を描きたい。 主宰キャンディ江口を中心に、そのような挑戦を続けています。